ソリューション

玉川学園

CHaT Netが開いた学びの新しい形

波里純次氏
玉川学園マルチメディアリソースセンター
CHaT Net運営室 課長
波里純次氏

小田急線「玉川学園前」駅にほど近い、玉川の丘に広がる緑豊かなキャンパス。「全人教育」を教育理念に掲げる玉川学園は、幼稚部から大学院まで約1万人が同じ敷地内で学ぶ総合学園だ。なかでも、幼稚部(Kindergarten)から12年生(高校3年生)までの15年間を「K-12(Kindergarten to 12th)」という一つの教育システムでとらえた一貫教育には定評がある。常に新しい時代にふさわしい教育のあり方を求めて挑戦し続け、子どもたち(Children)と家庭(Homes)、教師(Teachers)を結ぶネットワーク「CHaT Net 」は導入から早10年目に入った。日常的なコミュニケーションから、授業や在宅学習 、学園生活の公開、海外交流にまで幅広く活用され、親・子・教師が一体となった「24時間教育」が実現している。

登録ユーザ数は8700! 三位一体教育の基盤に

三位一体教育の基盤に「CHaT Net」が導入された1998年当時はまだ、教育現場はもちろん、家庭でのインターネット環境は整備されていなかったころ。だが、新しい学習環境を創造しようと、玉川学園は21世紀を前に、時代に先駆けてコンピュータを介したコミュニケーション環境を設けた。それから10年。ブロードバンド時代に入り、家庭でも光ネットワーク環境が整備され、CHaT Netがめざすコミュニティは確立された。現在では8700ユーザが登録し、日常的に利用している。2007年5月からは携帯電話とも連携し、CHaT Netで最新情報をいつでも入手できるようになり、さらに利便性が向上した。また、CHaT Netに関するURLやサポート専用のフリーダイヤルを 設け、毎年、年度初めには新入生の保護者向けに講習会を開くなど、CHaT Netのインストールから設定、使い方までを丁寧にサポートしている。


月別保護者利用率年度別平均利用者数

CHaT Netなくして学園生活は成り立たない

CHaT Netは導入当初より、「First Classサーバ」を利用し、専用の電子メールをはじめ、さまざまな会議室やコンテンツが目的別に提供されている。これまでは「First Class8.0」を利用し続けてきたが、2007年4月にバージョンアップし、「First Class8.3」へ移行した。各教科の学習で使用する会議室から、学園情報を提供する会議室、海外の提携校と交流するための会議室、小学生から高校生までの児童・生徒がコミュニケーションを図る会議室、父母会の会議室まで、実にその数500以上というから、利用頻度の高さをうかがい知ることができるだろう。また、欠席連絡や交通遅延情報の提供に加え、新年度にはクラス発表もオンラインで確認できる。電話や連絡帳による伝達手段の不便さはCHaT Net導入により解消された。さらに、学園行事の様子はリアルタイムで更新されるので、常に動き続ける“学園のいま”を、保護者は家庭で知ることができる。もはや、「CHaT Netなくして学園生活は成り立たない」(波里氏)というほどまでに、学園運営の基盤として定着したCHaT Netは具体的に、どのように活用されているのだろうか。

CHaT Netなくして学園生活は成り立たない

だれにとっても便利なシステムを構築

だれにとっても便利なシステムを構築「授業では各教科の会議室でプリントなどの教材をCHaT Netで配布しています。たとえ、宿題のプリントを学校に忘れても、ダウンロードできる利点がありますね。また、英語科や音楽科などでは音声教材を、体育科では水泳の泳法や体育祭でのリズム体操の振り付けを配信し、視聴覚を通じた理解の促進につながっています。国語科では会議室機能を利用して、生徒が課題の俳句や短歌を発表し、それに対してクラスメイトが相互にコメントを書くといった使い方もしているようです。教師側の創意工夫次第で、まだまだ効果的な活用ができる可能性を含んでいます」(波里氏)

テレビ会議システムを利用することにより、国際交流も盛んになった。 海外の提携校とのメール交換や共同学習、研究発表を通じて交流が深まり、英語を実践する場としても大いに活用されている。学園から各国へ留学している生徒とのコミュニケーションの場も設けられ、留学中も仲間たちに支えられているという実感を得られるという。

保護者にとっては、学園行事がリアルタイムでふんだんな写真や動画とともにリポートされるので、宿泊を伴う校外学習の際などには、子どもの現地での様子を随時確認できる安心感がある。また、欠席連絡をはじめ、担任への連絡・相談ができるので、時間に拘束されずに、学園へ足を運ばずしてコミュニケーションを取ることができる。

「保護者自らCHaT Netにアクセスすれば、学園の様子や授業、クラブ活動まで必要な情報をいつでも収集できるので、家庭での話題作りにも役立っています。『 課題 が出ていたようだけど、もう終わった?』など保護者から先回りすることもできますよね(笑)」(波里氏)

教職員にとっても、生徒の情報を共有化でき、書類のペーパーレス化が進んだことや、教材のデジタル化によって多様な指導ができるようになったことなどメリットは多数ある。

「安心・安全・使いやすい」が導入の決め手

「安心・安全・使いやすい」が導入の決め手玉川学園がCHaT Netのベースとなるグループウェアとして「First Class」を導入したのは、「WindowsでもMacintoshでも同じ環境で利用できる」「個人情報などのデータ流失やウィルスの進入を防げる仕組みを持つ安全・安心なシステムである」「パソコンに詳しくなくても、初期設定が簡単で、だれにでも使いやすい」「通信を暗号化でき、クライアントPCに何も情報が残らない」「 サーバ障害時の修復が容易にできる」といった理由が挙げられる。

「10年使ってきましたから、子どもたちも保護者も教職員も、たいていのことはできるようになり、トラブルは少なくなっています。ユーザ間のコミュニケーションは年々活発になり、情報を正確かつ公平に伝えられる環境が整いました。学習コンテンツや教務関係のデータベースも充実してきています。導入当初はコミュニケーション主体で運営していましたが、 現在はFirstClassアプリケーションサービスによるデータベース連携を活用し、出欠管理、成績管理、学籍管理、児童・生徒情報の検索などの仕組みもできました。  今後はCHaT Netと学内のさまざまなデータベースとの連携をさらに高めてK-12一貫の教務システムにもなり、先生方の業務の効率化に貢献できればいいですね。これからもFirstClassを活用していきます」(波里氏)

「安心・安全・使いやすい」が導入の決め手K-12の学園内は全館無線LANで結ばれ、子どもたちはどこからでもCHaT Netにアクセスできる。昨年にはメディアや情報の活用の仕方を理解し、学びの可能性を広げる「学園マルチメディアリソースセンター」がオープンし、子どもたちは最新の情報機器をツールに新たな時代にふさわしい学びに触れる環境が整備された。常に時代を先取りした教育活動に取り組んできた玉川学園は、これからも CHaT Net を基盤に、新たな学びの環境を創造すべく、挑戦し続ける。

この事例のPDFファイルをダウンロード(266KB)

ページトップへ